【神はサイコロを振らないvol.17】 恒常性の副作用
2020/12/14
「神はサイコロを振らない」では毎回、京の拝み屋が脳科学について語ります。
お読み下さり、ありがとうございます。
京都の脳科学コーチ 西陣の拝み屋です。
京都で脳科学コーチングをしていますが、実はキャリア足掛け19年目になる拝み屋でもあります。
「拝み屋」とは、所属を持たない祈祷師のこと。
仕事の仕方はさまざまですが、最近はライトノベルの「我が家は祇園の拝み屋さん」がヒットしているので、『拝み屋』という名前自体は知っている人もいるかもしれません。
野良の祈祷師として京都に移住して3年目、左脳系祈祷師として活動しています。
東日本大震災から、来年で10年です。
もうご存知の方も少ないですが、わたしは東日本大震災のとき、千葉県市川市で被災しました。
のちに支援に入った福島で「貴方程度、被災なんて言わないで。なにも失ってないくせに」と言われ、心底傷ついたことは生涯忘れないでしょう笑。
東日本大震災のショックで丸2年半業界を離れ、人生が破壊されたわたしからしたら、あの震災の日は立派な「被災」。
2013年にいまの所属先である認定NPOかながわ311ネットワークに出会わなければ、いまもまだ生きた屍だった自信があります。
本当に命の恩人、同時に最初の派遣先・宮城県気仙沼の人々にも感謝しています。
誰ひとり「お前は被災者じゃない」などとは言わず。
むしろ、気遣いをくださり、嬉しくて泣いてばかりいました。
人間ておかしなもので、人との出会いの第一印象=土地の印象になるんですよね。
この原理にも実は脳が関与していますが、深い部分まで入り込んだ衝撃は、なかなか修正が難しいのもまた事実です。
2013年から防災に関わり、早7年。
そこで学んだのが、防災と脳の関係です。
上洛間際、防災教育に携わってきましたが、そこでは「非常時の脳の働かせ方」を教えていたと思っています。
非常時、人間の脳は機能しなくなります。
意外だと思いますが、脳の働きは主に以下の二つ。
①生命を安全に維持する
②そのためのパニックを回避する
つまり、脳が機能することで死ぬリスクが高いと判断した場合、思考停止を選択するのです。
止まった脳はいつも通り行動する道を選択します。
結果「大したことない」という思考が生まれ、行動が遅れ、被災するのです。
10年前のわたしがまさにそうでした。
同時にそれを助長した人間がいました。
その人はある意味脳科学知識のある人でしたから、今にして思えば担がれた節も見受けられます。
のちに被災したわたしは、その人の思惑通りに暮らすしかない時期を経て、どんどん人生を混乱させていくことになるのです。
コロナ禍から、半年が過ぎました。
継続するコロナ禍は、終わりを知らない震災のようなもの。
毎日が余震の中にいるようなものだと思います。
防災の基礎は、その災害がなにであるかを知ることから始まります。
地震、水害、火災、自然災害(土砂崩れや台風など)では、避難方法も防災術も復興計画も変わるからです。
そのとき、一番にすべきは脳に「いまは非常時、いつも通りにしてはダメ」と認識すること。
そのためには、落ち着くしかありません。
混乱すれば恒常性が作動し、思考停止が起きるからです。
防災団体の代表理事のPCには、キーボードにこんなステッカーが貼られていました。
「まず、君が落ち着け」
貴方は、どれくらい、これができますか?